少女の実家は、車で5分ほど離れた市街地を望む丘の頂上付近に建つ。
「このあたりに住むのは病院の先生や会社の社長。裕福な人ばかり」。タクシー運転手がそう話す。高級住宅地で、実家の重厚な門構えはひときわ目立っていた。
慕っていた実母を昨秋に病気で亡くした少女は、今春の父親の再婚で居場所をなくし、丘の上の豪邸を去ったのかもしれない。
現地では、「どうして佐世保ばかりで凄惨な事件が起きるのか」という声が頻繁に聞かれる。
10年前の6月、市立大久保小学校6年の御手洗怜美(さとみ)さん=当時(12)=が同級生にカッターナイフで首などを切られ、殺害された。その大久保小では、今も校長室に御手洗さんの机がきれいに磨かれた状態で保管されていた。玄関には献花台も残っている。
悲しみを繰り返さないため、この10年、佐世保の教育界で行ってきた「思いやりの心を育てる」取り組みは、何だったのだろう。
「無念です」。小林庸輔校長(56)は力なく語った。「これまでの取り組みを改めて徹底し、二度と悲しい事件が起きないようにしたい」。命の尊さを伝えるための模索は続く
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